不正出血

婦人科で受診が多い不正出血とは?原因と対処法を知ろ

不正出血とは

不正出血とは、月経以外に性器から出血することを指します。新しい血液は赤く、古い血液は茶色や黄色になります。不正出血の原因はさまざまで、ホルモンの異常や炎症、良性や悪性の腫瘍、妊娠に関連するものなどがあります。不正出血は重大な病気の症状であることもあるので、注意が必要です。

不正出血の診断方法

不正出血の診断方法は、以下のようなものがあります。

問診:出血の時期や量、色、臭い、痛みなどを聞きます。また、生理周期や避妊方法、性行為の有無や相手数なども聞きます。

内診:膣や子宮頸部に異常がないかを触診します。また、子宮頸部から細胞を採取して細胞診(パップテスト)を行います。

超音波検査:子宮や卵巣に腫瘍や嚢胞がないかを調べます。

血液検査:ホルモン値や貧血の有無などを調べます。

内視鏡検査:子宮内膜や卵管に異常がないかを調べます。必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。

MRI検査:子宮や卵巣の詳細な画像を撮ります。特に悪性腫瘍の場合に有用です。

不正出血の分類と原因

不正出血は大きく分けて2種類あります。

器質性出血:膣や子宮、卵巣などに何らかの病気があるために出血するものです。
機能性出血:病的な原因はなく、ホルモン異常によっておこるものです。

器質性出血と機能性出血の原因と特徴を以下の表にまとめました。

器質性出血機能性出血
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炎症(子宮頸管炎、子宮内膜炎など)卵巣機能不全(排卵障害)
良性腫瘍(子宮筋腫、子宮ポリープなど)月経異常(月経困難症、月経過多など)
悪性腫瘍(子宮頸がん、子宮体がんなど)ピル服用
妊娠関連(流産、異所性妊娠など)排卵期出血
出血量が多いことが多い出血量が少ないことが多い
出血期間が長いことが多い出血期間が短いことが多い
出血時期が不規則であることが多い出血時期が一定であることが多い

不正出血の治療法

不正出血の治療法は、原因によって異なります。一般的な治療法を以下に示します。

炎症:抗生物質や抗ウイルス薬などで感染を治します。

良性腫瘍:ホルモン剤や鎮痛剤で出血や痛みを抑えます。腫瘍が大きくて自然消失しない場合は手術で切除します。

悪性腫瘍:手術や放射線治療、化学治療などでがん細胞を除去します。

妊娠関連:流産や異所性妊娠の場合は手術で胎児や胎盤を取り除きます。早産防止剤や安静にすることで安定させます。

卵巣機能不全:ホルモン剤で排卵誘発や月経調整を行います。

月経異常:ホルモン剤や鎮痛剤で月経困難症や月経過多を改善します。

ピル服用:ピルの種類や服用方法を変更したり中止したりします。

排卵期出血:特に治療は必要ありません。鎮痛剤で軽減できます。

まとめ

不正出血はさまざまな原因で起こる可能性があります。自覚症状だけでは判断できない場合もあるので、不正出血が2週間以上続く場合や度々起こる場合は婦人科で検査を受けましょう。早期発見・早期治療が重要です。

黒板とパンダ

不正出血の中医学的見方と対策

不正出血とは、生理以外の時期に性器から出血することをいいます。出血の量や色、臭い、痛みなどは人によって異なります。不正出血の原因はさまざまで、ホルモンバランスの乱れや炎症、腫瘍、妊娠などが考えられます。不正出血は重大な病気のサインであることもあるので、放置せずに早めに検査を受けることが大切です。婦人科を受診し異常が無いときは漢方薬局へGO!!

不正出血の中医学的見方

中医学では、不正出血のことを「崩漏」と呼びます。崩漏は、衝任という女性の生理や妊娠に関係する経絡(けいらく)の機能が失調することで起こると考えられています。経絡とは、気や血などの人体の構成成分を運ぶ通路であり、人体を一つの有機体として結び付ける役割があります。経絡のうち、その主幹部分を経脈(けいみゃく)といいます。

衝脈は子宮や卵巣などの生殖器を中心に広がる経脈で、五臓六腑(ごぞうろっぷ)の気や血を調整し、月経や排卵をコントロールする働きがあります。任脈も生殖器を中心に広がる経脈ですが、こちらは子宮や胎児の養育や帯下(おりもの)などに関係する働きがあります。これら衝任の機能が低下したり乱れたりすると、月経以外にも出血しやすくなります。

崩漏は大きく分けて以下の5つのタイプに分類されます。

・腎陽虚(じんようきょ):腎(じん)という五臓の一つで貯蔵されているエネルギーや栄養素が不足している状態です。腎陽虚になると、衝任の機能が弱まり、出血しやすくなります。
・腎陰虚(じんいんきょ):腎陽虚と同じくエネルギーや栄養素が不足していますが、こちらは特に水分や液体が乏しい状態です。腎陰虚になると、衝任から水分が失われて乾燥し、出血しやすくなります。
・脾気虚(ひききょ):脾(ひ)という五臓の一つで消化吸収や代謝を担う機能が低下している状態です。脾気虚になると、気(エネルギー)が不足して血液をコントロールできず、出血しやすくなります。
・血熱(けつねつ):味の濃い食事やストレスなどで体内に熱邪(ねつば)がたまっている状態です。血熱になると、熱邪が血液を刺激して動かしすぎてしまい、出血しやすくなります。
・血瘀(けつお):冷えやストレスなどで血液の流れが滞っている状態です。血瘀になると、鬱滞した血液が溜まって圧迫されてしまい、出血しやすくなります。

不正出血の養生法

不正出血を予防したり改善したりするためには、日常生活で注意することも大切です²³。

  • 味の濃い食事や辛い食事は控えましょう。これらは体内に熱邪をため込みやすくします。
  • 冷たい食事や飲み物も控えましょう。これらは体内に水分を溜め込みやすく、血液の流れを悪くします。
  • ストレスを溜めないようにしましょう。ストレスは気や血のバランスを乱し、熱邪や鬱滞を引き起こします。
  • 適度な運動をしましょう。運動は気や血の流れを良くし、腎や脾の機能を高めます。ただし、過度な運動は逆効果です。
  • 睡眠を十分にとりましょう。睡眠は気や血の補充に必要です。睡眠不足は気や血の不足や乱れを招きます。
  • 体温を保つようにしましょう。体温が低いと血液の流れが悪くなります。特に下半身は冷えやすいので注意が必要です。

不正出血の役に立つ話

不正出血は女性にとって大きな悩みですが、中医学的な見方や対策を知ることで、自分の体質や状態に合った漢方薬や養生法を選ぶことができます 。不正出血は一人で抱え込まずに、早めに専門家に相談することが大切です。漢方薬局では、不正出血の原因やタイプを診断し、最適な漢方薬を処方することができます 。不正出血でお悩みの方は、ぜひ漢方薬局にご相談ください。

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