副腎疲労症候群(起立性調節障害)

朝、起きる事が出来ない女性

副腎疲労症候群とは、ストレスや病気などによって副腎が機能低下し、ホルモンの分泌が不足することで起こる症状のことです。米国で生まれた概念であり、ストレスの治療にも採用されています。ただし、正式な病気と認知されているものではなく、通常行われている医療の中では治療の対象とはされていません。

副腎疲労症候群の症状
副腎疲労症候群の症状は、個人差が大きく、一般的な疲労やストレスと区別が難しい場合があります。主な症状は以下のとおりです 。

  • 朝起きられない、昼間は眠い、夜は逆に眠れないなどの睡眠障害
  • 集中力や記憶力の低下、判断力や思考力の低下
  • 気分の落ち込み、不安やイライラなどの情緒不安定
  • 免疫力の低下、風邪や感染症にかかりやすい
  • 食欲不振、体重減少、低血糖などの消化器症状
  • 血圧の低下、めまい、立ちくらみなどの循環器症状
  • 頭痛、筋肉痛、関節痛などの痛み
  • 性欲の低下、生理不順、不妊などの生殖器症状

副腎疲労症候群の原因
副腎疲労症候群の原因は、副腎が過剰に働くことで疲弊し、副腎皮質ホルモン(コルチゾールやアルドステロンなど)の分泌が不足することです。副腎が過剰に働く原因としては、以下のようなものがあります 。

  • 長期間にわたるストレス(仕事、家庭、人間関係など)
  • 重病や手術などの身体的ストレス
  • 不規則な生活習慣(睡眠不足、過食、飲酒、喫煙など)
  • 栄養不足や偏食(ビタミンやミネラルの不足など)
  • アレルギーや感染症などの免疫系の負担
  • ホルモン補充療法やステロイド剤の使用

副腎疲労症候群の診断の仕方
副腎疲労症候群は、医学的には認められていない病気であり、検査や診断基準が確立されていません。しかし、以下のような方法で診断することができるとされています 。

  • 問診:症状や生活習慣、ストレスの状況などを詳しく聞く
  • 血液検査:副腎皮質ホルモンやその前駆物質の濃度を測定する
  • 唾液検査:一日の中で副腎皮質ホルモンの分泌量の変化を測定する
  • 尿検査:24時間分の尿中に排泄される副腎皮質ホルモンの総量を測定する
  • ACTH刺激試験:人工的に副腎刺激ホルモン(ACTH)を投与し、副腎の反応を調べる

副腎疲労症候群の分類
副腎疲労症候群は、副腎皮質ホルモンの分泌量や症状の程度によって、以下のように4段階に分類されています。

  • 第1段階:警告期。副腎は過剰に働き、副腎皮質ホルモンの分泌量が増加する。症状は軽度で、疲労感や不眠などがある。
  • 第2段階:抵抗期。副腎は継続的に働き、副腎皮質ホルモンの分泌量は高いままである。症状は中度で、気分の低下や免疫力の低下などがある。
  • 第3段階:慢性期。副腎は疲弊し、副腎皮質ホルモンの分泌量が低下する。症状は重度で、血圧の低下や体重減少などがある。
  • 第4段階:崩壊期。副腎は機能停止し、副腎皮質ホルモンの分泌量が極端に低下する。症状は致命的で、ショックや昏睡などがある。

副腎疲労症候群の治療法
副腎疲労症候群の治療法は、副腎の機能を回復させることを目的としています。具体的には、以下のような方法があります 。

  • ストレスの管理:ストレスの原因を特定し、適切に対処する。リラクゼーションや呼吸法などのストレス緩和法を行う。
  • 生活習慣の改善:規則正しい睡眠や適度な運動を行う。過食や飲酒、喫煙などの悪習慣をやめる。
  • 栄養補給:バランスの良い食事をとる。専門の薬剤師が薬局で薦めるビタミンやミネラルなどのバランスの良い天然由来のサプリメントを摂取する。
  • ホルモン補充療法:副腎皮質ホルモンの不足を補うために、医師の指示のもとでホルモン剤を服用する。
  • 代替療法:漢方相談専門のお店で体質改善を行う。温灸などの自分で出来る医療器具で心身の癒しを行う。

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副腎疲労症候群の漢方療法とは?

副腎疲労症候群とは、ストレスによって副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが低下し、疲労感や倦怠感、低血圧などの症状を引き起こす状態です。中医学的には、気虚や血虚という病態に相当します。気虚や血虚を補うためには、漢方薬や養生法が有効です。

漢方薬では、補気剤や補血剤と呼ばれるものを使います。代表的な処方は以下の通りです。

  • 補中益気湯(ほちゅうえきとう):気虚の基本的な処方で、胃腸の消化機能を丈夫にして気を補います。血の不足が少ない若い人で使うことが多い漢方薬です。
  • 四物湯(しもつとう):補血剤の基本的な処方で、栄養が不足していて疲れがたまっている場合に用います。女性の月経不順や貧血にも効果があります。
  • 人参養栄湯(にんじんようえいとう):気血両虚の症状に対応する処方で、人参や当帰などの滋養強壮の生薬が含まれています。疲労感や冷え性、食欲不振などに効果があります。

養生法では、以下の点に注意します。

  • 睡眠を十分にとること。睡眠不足は副腎の回復を妨げます。就寝前のスマホでのチェックはお休みしてなるべくリラックスできる音楽や香りを楽しむと良いです。
  • ストレスを減らすこと。ストレスは副腎の負担になります。自分の感情を抑圧せずに表現したり、周囲の人の支えを受け入れたりすることが大切です。
  • まずは食事をバランスよくよく噛んで摂ること。砂糖や精製された食品は避け野菜や果物、全粒穀物などを多く摂ります。生きた動植物から採れるビタミンCやビタミンB群、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルも副腎の機能を高めるのに必要です。
  • 適度な運動をすること。運動はストレスの解消や代謝の向上に役立ちます。ただし、激しい運動は逆効果になるので、散歩やヨガなどの軽い運動から始めましょう。

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