慢性疲労

慢性疲労を詳しく解説

慢性疲労とは、明らかな原因がないのに日常生活に支障をきたすほどの疲れが6ヶ月以上続く状態です。この症状は慢性疲労症候群(CFS)と呼ばれ、身体的・精神的な要因が複雑に関係していると考えられています。慢性疲労の原因や治療法についてはまだ分かっていないことが多く、医学的な課題となっています。

慢性疲労の症状
慢性疲労の主な症状は、十分に休んでも回復しない極度の倦怠感です。この倦怠感は、身体的・精神的な活動によって悪化し、日常生活や仕事・学校に大きな影響を与えます。また、以下のような症状もよくみられます。

  • 集中力や記憶力の低下
  • 頭痛や筋肉痛、関節痛などの身体的不快感
  • のどの痛みやリンパ節の腫れなどの風邪様症状
  • 睡眠障害(不眠や過眠など)
  • 起立時にめまいやふらつきを感じる(起立性調節障害)
  • うつや不安などの心理的不調

慢性疲労の診断基準は複数ありますが、一般的には上記のうち5つ以上の症状が6ヶ月以上持続している場合に慢性疲労と判断されます。

慢性疲労の診断
慢性疲労は、他の身体的・精神的な疾患で説明できない場合に診断されます。そのため、まずは内科で血液検査や尿検査、心電図などを行って、貧血や甲状腺機能低下、心臓・肝臓・腎臓の異常などを除外します。

また、精神科で睡眠障害やうつ病、不安障害などを否定する必要もあります。これらの精神的な問題は慢性疲労と重なる部分が多く、また合併することもあります。

慢性疲労は原因不明で特徴的な検査所見もありません。そのため、診断は医師と患者との信頼関係が重要です。自分の体調や生活について正直に話しましょう。

慢性疲労の分類
慢性疲労は一つの単一の病気ではなく、さまざまな要因が絡み合って発生する可能性があります。そのため、患者ごとに原因や経過が異なります。現在では以下のように分類されることがあります⁴。

- 感染後発生型:風邪やインフルエンザなどの感染後に発生するタイプ。ウイルス感染が免疫系に影響して引き起こされると考えられている。

- ストレス関連型:仕事や家庭でのストレスが原因で発生するタイプ。ストレスホルモンが自律神経や内分泌系に影響して引き起こされると考えられている。

- アレルギー関連型:食物アレルギーや花粉アレルギーなどが原因で発生するタイプ。アレルギー反応が免疫系に影響して引き起こされると考えられている。

- 環境汚染関連型:大気汚染や電子機器からの電波などが原因で発生するタイプ。有害物質や電波が細胞にダメージを与えて引き起こされると考えられている。

- 遺伝子関連型:家族内で発生するタイプ。遺伝子レベルで免疫系や代謝系に異常があって引き起こされると考えられている。

慢性疲労の養生法

慢性疲労の養生法
治療法だけでは十分ではありません。日常生活でも自分自身で工夫して養生することが大切です。以下のようなポイントに注意しましょう 。

- 健康的でバランスの取れた食事を摂る
- 常用している薬以外は控える
- カフェインやアルコールの摂取を減らす
- 適度な運動やストレッチをする
- 睡眠時間と睡眠環境を整える
- リラックスできる趣味や休息を取る
- ストレス源を見つけて対処する

これらの養生法は、慢性疲労の原因である活性酸素の発生や蓄積を抑えたり、除去したりすることにつながります。また、免疫力や自律神経のバランスも整えることができます。

慢性疲労の原因と漢方での治療法

慢性疲労には西洋医学的な治療法がありませんが、漢方では体質や症状に合わせて漢方薬を選ぶことで改善する可能性があります。漢方では慢性疲労の原因を「エネルギーや栄養が足りなくなってしまう気虚・血虚」「消化機能が低下する脾虚」と考え、それらを補う補気剤や補血剤を中心に使っていきます。

慢性疲労に使われる漢方薬

慢性疲労に使われる漢方薬は以下のようなものがあります²³。

- 補中益気湯(ほちゅうえきとう):気虚の基本的な処方で、胃腸の消化機能を丈夫にして気を補います。だるい、気力が出ない、食欲がないといった状態に使用されます。

- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):消耗が著しく、補気と補血の両方が必要になる場合に使用されます。全身機能を高めて代謝を促進し、疲労感を軽減します

- 人参養栄湯(にんじんようえいとう):十全大補湯でも効果がなかった場合に使用されます。十全大補湯に生薬を加えたもので、気血両虚の重度の場合に用います²。

まとめ

慢性疲労は一度おきてしまうと、良くなるのに時間がかかります。日ごろから疲労やストレスなどを溜め込まないよう気をつけること、適度な運動することが大切です。また、漢方は個人個人に合わせた「証」をみながら選ぶ必要があります。合わない漢方薬はかえって身体の負担となりますので、飲むときは漢方薬局の先生と相談してくださいね。

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