高プロラクチン血症(PRL)

プロラクチン血症(PRL)の対処法を知ろう

高プロラクチン血症(PRL)とは

高プロラクチン血症(PRL)とは、血液中のプロラクチンというホルモンの量が正常値よりも高くなる状態のことです。プロラクチンは、主に乳腺の発達や母乳の分泌に関与するホルモンですが、他にも生殖機能や免疫機能にも影響を与えます。

高プロラクチン血症の症状とは?

  • 女性では、月経不順、無月経、不妊、乳汁分泌、性欲低下など
  • 男性では、性欲低下、勃起不全、精子減少、乳汁分泌、乳房肥大など
  • 男女ともに、頭痛、視力障害、骨粗鬆症など

高プロラクチン血症の原因とは?

- 生理的高プロラクチン血症:妊娠・授乳期、睡眠中、運動後、ストレスなどによる一時的な上昇

- 病的高プロラクチン血症:下垂体腫瘍(特にプロラクチノーマ)、甲状腺機能低下症、腎不全、肝硬変などの内分泌疾患や器質性疾患

- 薬剤性高プロラクチン血症:向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬など)、抗ドーパミン薬(ドーパミン受容体拮抗薬)、エストロゲン製剤などの影響

高プロラクチン血症の診断とは?

- 血液検査:空腹時に採血し、血中プロラクチン濃度を測定する。正常値は女性で2.8~29.2 ng/mL、男性で2.1~17.7 ng/mLとされる。

- 脳MRI:下垂体腫瘍やその他の脳内病変の有無や大きさを評価する。

- 視野検査:下垂体腫瘍が視神経を圧迫している場合に視野欠損が生じることがあるため、視力や視野の変化を調べる。

高プロラクチン血症の治療法とは?

- 薬物治療:ドーパミン作動薬(ブロメクリプチンやカベルゴリンなど)を服用してプロラクチン分泌を抑制する。副作用として吐き気やめまいなどがあることがある。

- 手術治療:下垂体腫瘍が大きくて薬物治療に反応しない場合や視力障害がある場合には、内視鏡的経鼻下垂体手術(ETSS)という方法で腫瘍を切除する。合併症として出血や感染などがあることがある。

- 放射線治療:手術ができない場合や手術後に再発した場合には、放射線を照射して腫瘍を縮小させる。効果が現れるまでに時間がかかることや、下垂体機能低下などの副作用があることがある。

黒板とパンダ

高プロラクチン血症(PRL)の中医学的見方と対策

高プロラクチン血症の中医学的療法とは?

- 肝気鬱滞タイプ:肝の気の巡りが滞って、胸や脇腹に圧迫感や痛みがある場合。逍遥散で肝気を疏通し、気滞を解消する。

- 肝腎陰虚タイプ:肝と腎の陰液が不足して、頭痛やめまい、耳鳴り、手足のほてりなどがある場合。杞菊地黄丸で肝腎の陰液を補い、陰虚を改善する。

- 脾胃虚弱タイプ:脾と胃の働きが弱って、食欲不振や消化不良、倦怠感などがある場合。健胃顆粒や健脾散などで脾胃を補強し、気血を生成する。

- 瘀血タイプ:血液の巡りが悪くて、下腹部にしこりや痛みがある場合。冠元顆粒や桂枝茯苓丸などで血行を促進し、瘀血を除去する。

高プロラクチン血症の代表処方は、以下のようなものがあります。

  • 炒麦芽麦:麦芽で構成されるシンプルな処方で、プロラクチン分泌を抑制し、乳汁分泌を減少させる効果がある。高プロラクチン血症に伴う無月経や不妊に用いられる。

高プロラクチン血症の養生法とは?

  • 睡眠不足や過度なストレスはプロラクチン分泌を増加させるため、十分な睡眠とリラックスを心がける。
  • 過度な運動や乳房刺激はプロラクチン分泌を増加させるため、適度な運動と乳房の保護を心がける。
  • 食生活では、ビタミンB6や亜鉛などのプロラクチン分泌を抑制する栄養素を摂取する。バナナやアボカド、牡蠣などがおすすめである。
  • 喫煙や飲酒はプロラクチン分泌を増加させるため、控える。

高プロラクチン血症に役に立つ話とは?

  • 高プロラクチン血症は不妊の原因になることがあるが、適切な治療や漢方で改善することが可能である。実際に炒麦芽や体質にあった漢方を服用して妊娠に成功した事例も多く報告されている。
  • 高プロラクチン血症は下垂体腫瘍の可能性もあるため、定期的な検査や画像診断が必要である。下垂体腫瘍は良性のものがほとんどで、薬物療法や手術で治療することができる。
  • 高プロラクチン血症は自律神経の乱れとも関係しているため、生活習慣の改善ストレス管理が重要である。アロマテラピーなどのリラクゼーション法やヨガなどの呼吸法が効果的である。

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