PMS

PMSと漢方

PMSとは

PMSとは、月経の出血が始まる7~10日くらいの期間に様々な心身の不快症状がおこり、日常生活に支障をきたす状態のことです。PMSは女性ホルモンの変化によって起こると考えられていますが、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。

PMSの症状

PMSの症状は人によって様々ですが、多くは心理的なもの(イライラ、不安、抑うつなど)や身体的なもの(頭痛、腹痛、乳房痛、むくみなど)があります。症状は数時間~10日以上持続し、通常月経が始まると治まります。

PMSの診断

PMSの診断は、症状が月経周期と関連していることを確認するために、2~3ヶ月間日記をつけることが必要です。日記には以下のことを記録します。

- 症状の種類と強さ
- 症状が始まった日と終わった日
- 月経の開始日と終了日

PMSの分類

PMSの程度は軽度から重度まであり、重度の場合は月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれます。PMDDは精神科的な診断基準があり、PMSよりも心理的な症状が強く出ます。PMDDの診断基準は以下の通りです。

- 月経前5日間に以下のうち少なくとも1つが存在する
 ・気分が落ち込む
 ・無気力感
 ・激しイライラ
 ・不安感

- 月経前5日間に以下のうち少なくとも4つが存在する
 ・食欲や睡眠の変化
 ・集中力や自信感の低下
 ・身体的な不快感(頭痛や腹痛など)
 ・孤立感や無価値感

- 症状が日常生活や社会生活に影響する

- 症状が月経開始後数時間で治まる

PMSの治療

PMSの治療法は、症状の原因や程度によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。

・生活習慣の改善:適度な運動、睡眠、栄養バランスの良い食事、ストレス管理など
・薬物療法:向精神薬、漢方薬、ホルモン剤、経口避妊薬などを使用します。薬物療法は症状の種類や強さによって選択されますが、一般的には以下のようなものがあります。
・低用量ピル・超低用量ピル:女性ホルモンの変化を抑えることでPMSの症状を軽減します。PMSのメイン治療法とされています。
・抗うつ薬:心理的な症状に効果があります。特にPMDDの場合は有効とされています。
・抗不安薬・向精神病薬:不安やイライラなどの症状に効果があります。副作用に注意が必要です。

PMSの中医学的(漢方医学的)治療法

PMSの中医学的(漢方医学的)治療法

西洋医学では、上記の通り低用量ピルや抗うつ薬などの薬物療法が主な治療法とされていますが、副作用や効果の個人差があります。そこで、副作用の少ない中医学的な治療法が注目されています。

中医学では、PMSは「気滞血瘀」や「肝鬱脾虚」などの証(しょう)と呼ばれる体質によって分類されます。証に合わせて、漢方薬や養生法を選択することで、PMSの症状を改善することができます。

漢方療法

漢方薬は、自然界にある植物や動物・鉱物などの成分を組み合わせたもので、体全体のバランスを整える効果があります⁴。PMSの場合は、以下のような漢方薬がよく用いられます。

代表的な漢方薬:逍遥散(しょうようさん)

漢方薬は個人差があるため、漢方専門薬局に相談して処方してもらうことが大切です。

おすすめの養生法

養生法とは、日常生活の中で自分の体質や季節に合わせて食事や運動などを調整することで、体のバランスを整える方法です 。PMSの場合は、以下のような養生法がおすすめです。

  • 食事:月経前は、塩分やカフェイン、アルコールなどの摂取を控えることで、むくみやイライラなどの症状を軽減することができます。また、ビタミンB6やマグネシウムなどの栄養素が不足すると、PMSの症状が悪化する可能性があるため、バナナやアボカド、ナッツなどを積極的に摂ることが大切です。
  • 運動:適度な運動は、ストレスを解消し、血行を促進する効果があります。月経前は、ウォーキングやヨガなどの軽い運動を続けることで、PMSの症状を和らげることができます。ただし、激しい運動は逆効果になる場合もあるため、無理をしないように注意してください。
  • 睡眠:睡眠不足は、ホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こし、PMSの症状を悪化させる可能性があります。月経前は、十分な睡眠時間を確保し、リラックスできる環境で眠ることが重要です。また、就寝前に温かいお風呂に入ったり、温灸をしたりすることで、睡眠の質を高めることができます。

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