産後の体調不良について

赤ちゃんを抱いているママ

産後の体調不良を改善する中医学的アプローチ

産後の女性は、身体的にも精神的にも非常に消耗している状態です。全身が疲労困憊しているのはもちろん、骨盤も安定していないので腰痛にもなりやすいです。悪露の量や痛み、切開による痛みにも悩まされていることも多いでしょう。また、睡眠不足や授乳ストレス、ホルモンバランスの乱れなども産後の体調不良の原因となります。

産後の回復が悪く不調が続く主な要因は体力の低下ですから、気力と栄養の不足(虚証)を補い、患者さんの訴えをよく聴いて治療する漢方医療は適した方法です。中医学では、産後の女性は「血の道症」と呼ばれる状態にあると考えられます。血の道症とは、出産によって大量の血液を失ったことで、血液が不足し、血液が流れる経絡(けいらく)が滞ってしまうことです。経絡が滞ると、気血(きけつ)がうまく巡らず、さまざまな不調が起こります。

中医学的アプローチ

中医学では、産後の女性の体質や症状に合わせて、気血を補い、経絡を通すことを目的とします。具体的には、以下のような方法があります。

・漢方薬:漢方薬は、複数の生薬(しょうやく)を配合したもので、気血を補う効果があります。代表的な漢方薬は、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」です。トウキをはじめ、センキュウ、オウギなどを加えた処方でこれら9種類の生薬を原料とするシロップ剤でお湯割りで服用するとさらに効果的です。
この漢方薬は、血液を補いながらも冷えや滞りを取り除きます。漢方薬は個人差が大きいので、専門薬局に相談して処方してもらうことが大切です。

・温灸:温灸は、経絡に沿って特定のツボに鍼や灸を施すことで、気血の流れを改善します。鍼灸は、腰痛や肩こりなどの筋肉や関節の痛みに効果的です。また、ホルモンバランスや自律神経の調整にも役立ちます。温灸は、自分で出来る厚生労働省が認可した医療器具です。温灸士である私の薬局でも取り扱いがございます。

養生法

中医学的療法だけでなく、日常生活で気をつけることも大切です。以下に産後の女性におすすめの養生法を紹介します。

・栄養バランスの良い食事:産後の女性は、体力や気力が低下しています。そのため、栄養バランスの良い食事を摂ることが大切です。特に、タンパク質や鉄分、カルシウムなどの栄養素を多く含む食品を積極的に摂りましょう。また、冷たい食べ物や刺激物は避けるようにしましょう。
・十分な休息:産後の女性は、赤ちゃんの世話や家事などで忙しくなりがちです。しかし、無理をすると体調を崩す恐れがあります。十分な休息をとることで、体と心の回復を促進しましょう。特に、夜間の睡眠は重要です。赤ちゃんの授乳や夜泣きに対応するためにも、昼間に仮眠をとるなどして睡眠不足を解消しましょう。
・適度な運動:産後の女性は、運動不足になりやすいです。しかし、運動不足は、筋力や骨密度の低下、肥満や生活習慣病のリスクなどにつながります。適度な運動をすることで、体力や代謝を高め、産後の回復を促進しましょう。特に、骨盤底筋や腹筋などの産後に弱くなりやすい筋肉を鍛えることがおすすめです。しかし、無理をすると出血や感染などの合併症を引き起こす可能性があるので、医師や助産師の指導のもとで行いましょう。

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まとめ

産後の女性は、中医学的に見ても体調が不安定であると考えられます。そのため、中医学的療法や養生法を取り入れることで、産後の回復を促進することができます。産後は一生に一度しかない貴重な時期です。自分自身の体と心の変化に気づきながら、自分自身の健康に配慮してください。

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